戦国大名の言い残した言葉から学ぶ人も少なくありません。
しかしながら、権力者の思惑を無視して、彼らの言葉から学ぶと、大変みじめな結果を起こすことになります。
何故なら、権力者というのは、自分の権力を盤石にするために、家来や民を洗脳する者だからです。
例えば、徳川家康 を例に上げてみます。
20年以上前のことですが、NHKの番組で徳川家康の特集をしていました。
「徳川家康がどのように昇りつめて天下をとったのか?」という、いわゆる定例の、立身出世の成功物語を語った番組でした。
番組の最後に、とても興味深く、面白い話が取り上げられていました。
何も考えずに、立身出世の成功物語を鵜呑みにするものは、結局誰かが語った成功法則に騙される結果となる!
徳川家康の家来の1人が、家康と2人でいるシーンが有り、その家来が家康にこう質問するのです。
「私も殿のように偉大な人物になりとうございます。殿のように人生を成功するには、どのようにすれば良いのでしょうか?その秘訣を是非伺いたく存じます。」
家康はこう返答します。
「確かに余のようにこの世で大きな成功を収める秘訣はある。
お前はそれを、五文字で聞きたいか?
それとも七文字で聞きたいか?」
その家来は返事をして答えます。
「両方聞きたく存じます!」
家康は答えます。
『では、お前にその秘訣を両方とも教えよう。
五文字で言うなら『うえみるな(上見るな)。
七文字で言うなら『みのほどをしれ(身の程を知れ)。
これが、人生を成功させる秘訣じゃ!」
番組では、この言葉を文字通り解釈して、‘家康は上を見ずに、身の程をわきまえる謙虚さをもっていたからこそ天下をとれた’というような終わり方で閉められていたことを、今でも記憶しています。
あなたは、この家康の発言をどのように捉えますか?
言葉の裏の文脈を読めないようでは、決してあなたは、大者になれない!
徳川家康は本当に「上を」見なかったのでしょうか?
彼は、本当に「身の程をわきまえた」謙虚な人だったのでしょうか?
上を見ないでどうやって天下取りを目指すのでしょうか?
身の程をわきまえない野望がなかったら、どうやって豊臣秀吉の死後、大阪冬の陣、夏の陣で豊臣家を倒して自分が天下人になることが可能なのでしょうか?
つまり、家康が先程の場面で、自分の家来に言った成功する秘訣と真反対だったからこそ、家康は天下人になれたのではないでしょうか?
「権力者は自分の地位を安泰させるため、常に自分より地位や身分の下の者に嘘を言って洗脳する」ことを忘れてはならない!
「もし、あなたが徳川家康だったなら、、、?」
と彼の立場で物事を観る想像力を働かさなければなりません!
下剋上で自分の寝首を掻かれないように、家来に
「命が欲しいのなら、夜な夜な立身出世欲などを出して、天下取りなどという大それた野望を持つでないぞ!身の程をわきまえとけよ!よもや、天下取りの夢などに憧れて、上など見るでないぞ!」
と言うでしょう!
「五文字で言うなら『上見るな』。七文字で言うなら『身の程を知れ』」
とはそういう意味なのです。
つまり、徳川家康の言うことをまともに聞いていたら、一生大金持ちにもなれないし、富も権力も自由もあなたの手に入らないのです。
一生奴隷のように、誰かにお仕えする一生で終わります。
本当に成功したいのなら、今日から
「上を見よ!身の程などわきまえるな!」
これが本当の成功の秘訣です!
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